轻松读懂日语经典作品
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おれのにょうぼう
おれの女房
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1949(昭和24)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,296 字 · 46 页
そこは水戸家の下屋敷から五六町も東へはいったところで、左に源心寺という寺の森があり、東側は榛の林や、畑や田や、堀や農家などのひろい展望がある。まわりは武家の下屋敷とか、富家の寮などがとびとびにあって、たいてい樹の多い庭をとりまわしているから、まるでやまがへでもいったように閑静であった。
加平は十日にいちどぐらいのわりで来た。
「ちょっと珍しい当来物がありましたから、寝酒の肴にでもめしあがって下さい」
そんなふうに云って、絵のことはなにもきかず、暫く話しては帰っていった。――又五郎はひと足も外へ出ず、八畳二間をぶちぬいた部屋で、ほとんどこもりっきりに仕事をした。……梅雨から暑中、秋風が吹きはじめても同じ調子で躯も相貌も痩せが眼立ってきた。
訪ねて来る加平はだんだん不安になるらしく、宇吉やおげんに日常のようすを聞いては、首をかしげたり溜息をついたりした。
「いざとなるとそう思うようにはいかないんだろうが、しかしあれでは躯が堪らない、――ひとつ気をつけて、精のつくようなものをさしあげて呉れ」
そうしてあれをこれをと、食べ物のさしずをし、店の者にもいろいろ運ばせるのであった。