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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
これは草臥れた時に至って便利だ。「今日伊賀の上野見物、余は後便にて」で充分用が足りる。殊に絵ハガキを使うと余白が少いから労を省いた形跡は些とも見えない。大抵の約束には履行の責任が伴うけれど、後便丈けは催促を受けて裁判沙汰になったという例を聞かない。後便なる哉後便なる哉! お母さんへも三輪さんの家へも発明序に日本橋の鬼瓦のところへも後便で御機嫌を伺って、後便は最良の方法だと思っていると、松本さんが小便の話を始めた。
「尾籠なことを申して甚だ恐れ入りますが、この伊賀の国ほど小便の出るところは天下にありませんな。実は今日もその小便で思わぬ不覚を取ったのです。亀山までお出迎えに参りましたが、時間があったので一寸親戚へ寄りました。つい話し込んでしまって、停車場へ駈けつける途中伊賀名物の小用を催しましてな、又知合の家へ飛び込むという騒ぎです。その結果出迎える積りの先生方の汽車を蔭ながら御見送りしたような始末になってしまいまして、馬鹿々々しくてお話になりません」
「何ういう次第だろうね? 小便滴瀝といって出の悪い方の病気はあるようだが、然う無暗に出るのは聞いたことがない。