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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
他人が何程釣っても決して褒めないこと不思議です。『あの人の鉤は妙に能く合う鉤だ』とか、『あの人のは場が好いんで』とか言って、道具や場所の所為にしてしまいます。皆天狗なのですな。釣れなかった日のことは棚へ上げて、吉野川で一尺からのを四十釣ったの五十釣ったのと時稀の成功だけを吹聴しています」
「吉野川は唯今承りましたよ」
「いや、これは大失策でした。ハッハヽヽヽ」
「ハッハヽヽヽ」
と長い顔にも短い顔にも春の光が隈なく照っている。
程なく奈良に着いた。田鶴子さんのお友達の清瀬さんがプラットホームに出迎えていてくれた。田鶴子さんと僕は夕刻ホテルで皆に落ち合うまで清瀬さんのお引き廻しに委せることになった。大人連中は差当り子供の圧迫を遁れて自由行動を執るに異存もなく、僕達も久しぶりで若いもの同志の世界に戻るのを嬉しく思った。
清瀬さんはお父さんの転任と共に東京から当地の女学校へ転じ、田鶴子さん同様つい先月卒業したのらしい。何方も現代婦人の雛っ子だけに表情頗る逞く、殆ど相擁して、
「私、随分吃驚したわ。真正に丈がお高くなってね、あなた」
「あなたこそ。見違えるくらいですわ。