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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

と僕が尋ねた。

「穴へ入れて石で詰めるのです。けれどもこれは嘘よ。その証拠にはこのお堂が十三鐘でしょう。子供の年が十三でしょう。それから石こづめの穴の深さが一丈三尺というのですもの。そう十三という数ばかり揃う理由はないわ」

「けれども十三という不吉な数ばかり揃えて動物愛護の精神を表した伝説と見れば宜いでしょう?」

と田鶴子さんが註解を試みた。

「人間虐待の精神も表れていますね」

と僕は不服を唱えた。

「真正に然うですよ。兎に角その小僧さんのお母さんが手向けの為めに此処へ紅葉を植えたのが鹿に紅葉の起原だというのですから益※(二の字点、1-2-22)心細いわ」

と伝説を出来合のまゝで受け容れないところは田鶴子さんよりも清瀬さんの方が団さんに似ている。

春日様は一の鳥居から二の鳥居まで随分長道だった。この間も其処此処で鹿に行き会うものだから、田鶴子さんは記念の為めにと言って、まさか今しがたの竹箆返しでもあるまいが、清瀬さんと僕と数頭の鹿を一視同仁にキャメラに収めた。折から見物客を乗せて来た俥が立ち止まって、

「鹿は悉皆で三千から居ります。夕方の五時にこの辺でラッパを吹いて呼び集め、『お定り』