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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
「すると農学士は皆浮塵子ですわね?」
と田鶴子さんが言った。
「まあ然うですな――百姓に言わせますとね。そうして憖じの学問が祟って実際浮塵子同様の成績を挙げることもあるのですよ。百姓々々って決して馬鹿になりません。現にこの頃頻に宣伝している内米の消費節約ですね。あれをこの地方の百姓は疾うの昔から実行しています。旧弊どころか、この点は余程時勢に先んじていると言っても差支ありません」
「この辺では皆お粥を喰べるのですよ」
と常子さんが説明してくれた。
「茶粥でしょう?」
と田鶴子さんが昨夜仕込んだばかりの知識を披瀝した。
「然うです。茶粥も……」
「豆茶粥でございましょう?」
「よく御存知ですな?」
と眼鏡をかけた浮塵子は稍※(二の字点、1-2-22)驚いて、
「その豆茶粥の稀薄なのをこゝの百姓は日に四度も五度も啜ります。尤も過ぎたるは尚お及ばざるが如しで、内米の消費節約は代々組織的にやっている結果、奈良県は一般に壮丁の体格が悪いという評判です。何うもこゝの人は妙に遠慮深くて困りますよ。自分で汗水流して作った米ですもの、栄養に要る丈けはキナ/\思わずに喰べるが宜いです。