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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
団さんは南さんとは面識のない所為か、
「僕は雲助や六尺の子孫でないから人を担ぐお手伝いは御免蒙る。博物館でも見て停車場で落ち合うことゝしよう」
と何時になく君子然と構えていた。田鶴子さんは昨夜からの約束でもう清瀬さんが迎えに来て、
「十一時までに屹度停車場へお届け致しますから」
と引っ攫うように連れて行ってしまった。斯ういう次第で僕達三人はホテルを出ると直ぐに団さんと別れた。
昨日とは方面が違う。これで奈良の両側が見られると思っていると、俥はところ/″\に崩れかゝった土塀のある場末町へ差しかゝった。
「この土塀は随分古いようだが、昔のが残っているのかね?」
とお父さんが訊いた。
「はい。昔の築墻でございます。これで千年からたっています」
と車屋さんが教えてくれた。そうして、
「南さんと仰有いましたな?」
「然う。南という医者だ。高畑としてあるからこの辺だろうね?」
「お医者の南さんならこの外れです」
と僕の車屋が知っていた。間もなく、
「成程、南医院とある。こゝだ。案外大きいね」
とお父さんが言うと、三輪さんは看板を見詰めて、
「内科婦人科小児科か。何でもやるんだね」