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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

途すがら、

「京都もこの辺は草深いね。竹藪ばかりじゃないか?」

と三輪さんが外を覗きながら言った。

「此処らは最早在所だもの。竹藪は多い筈さ――京都は団扇や扇子の産額が日本一だからね。藪が大財源だから枯らさないように竹専門の産業技師を置いてある」

と星野さんが説明した。

「これをこそ藪医者となんいうめれさ。竹取の翁の舎弟の子孫で竹内直太郎という人だろう?」

とお父さんが交ぜ返した。

「否、実際だよ。竹では世界的の学者だそうだ」

と星野さんが本気に主張すると、

「世界的じゃない。東洋的さ。竹は西洋にはないよ」

と団さんが訂正した。斯う臆面なしに物を言う連中にかゝっては案内者も全く容易でない。

雨上りにも拘らず嵐山には最早大分人出がしていた。渡月橋へ差しかゝった時星野さんは、

「これはいけない。水が濁っている。平常は清流で底が能く見えるんだけれどもね」

と予め苦情を封じる積りらしく言った。向う岸へ着いても、

「此処の桜は晩いからね。漸く綻び始めたばかりだ。これが満開になると素晴らしいもんだぜ」

と条件をつけ、川端を辿ってブラ/\上りながらも、

「此処を舟で少し上らないと嵐峡の真価は分らないんだが、生憎今日は水が増しているから駄目だ」