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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

尚お小川さんは、

「坊ちゃん、この公園は余程進歩していますよ。男の子の遊ぶところと女の子の遊ぶところと別々になっていますからね」

と両方へ案内して呉れた。

「風儀の悪いところでは子供の時からこれぐらい厳重にして置く必要があるんだろうね」

とお父さんが言った。

「風儀が悪いと何うして断定するんだい?」

「二個連れとかで出掛けるのが理想だと言ったじゃないか?」

「それは紳士の場合さ。大阪にだって教育家はあるぜ」

と小川さんは教育家は紳士でないと思っている。

「風儀は教育家に一任して、紳士は一意専心ぼろいことをするんだね」

「まあ然うさ。この地は何でも分業だ。先刻通った谷町が洋服屋、松屋町が駄菓子屋、それから会社銀行はこの向うの高麗橋通、呉服太物なら本町通というような次第でね」

「美人は宗右衛門町、金持は船場と島の内かい?」

「然う/\」

「しかし案外美人の少いところだね。そうして出っ歯の女が多いと聞いたが真正だ」

とお父さんは草臥れたと見えて容易に立とうとしない。

「誰に聞いたんだい? 妻だろう?」

「然うさ。しかし歯科医の説だと言ったぜ」

「家内のことばかり言うと家内を恐れているように誤解されるかも知れないが、実は先月一軒置いて隣家へ囲いものが越して来たのさ。