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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
とお父さんが大発明でもしたように言った。
海岸は松原を背後に控えて好い景色だった。高燈籠のところで、
「多々良ノ浜はあの見当になります。海上で二百十日の台風を食ったのですから十万余騎の敵も溜りません。それにしても生存者が唯三人とは酷い死亡率です」
と小三輪生は科学的説明を下した。
帰途医科大学の前へ出るまでに納豆の苞苴のようなものを提げて行く人達を幾度も見かけた。
「あれは何でしょうね?」
と田鶴子さんは俥の上から僕を顧みた。
「箱崎の浜の砂でござす。あらたな砂じゃけん、あげんして大切に持ち帰りますばい」
と僕の車屋が教えて呉れた。
宿へ戻って昼御飯を食べると最早立ち支度だ。ナカ/\忙しい。
「叔父さんは『わし国』別名『都名所』というのを御存知ですか?」
と小三輪生が訊いた。
「知らないね。此処の名物のお菓子かい?」
と大三輪生は無学を告白しなければならなかった。
「否、歌ですよ。此処のは斯ういうんです。『福博名所で見せたいものは……』」
と小三輪生はビールに酔ったのか、小声で謡い始めた。
「『……九州大学潮湯晴心館、敵国降伏筥崎八幡、元寇記念碑日蓮銅像、荒津山から沖を眺むりゃ玄界……沖を眺むりゃ玄界……』