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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

僕達は早速待合室に陣取った。

間もなく田口さんがキョト/\しながら、画家に似合わない彼の大きな図体を運び込んで来た。強度の近眼鏡で少時物色した後、僕達の姿を認めると直ぐに急ぎ寄って、

「間に合った。間に合った。や、奥さん、先日は失礼致しました。村岡君、これだ。三輪君、よろしく頼むよ」

とお父さんに何だか妙に嵩張った新聞包を渡した。

「大きなものを持って来たね。此奴は驚いたな」

とお父さんは委托物の目方を量るようにしながら歎息した。

「嵩の割に軽いよ。僕が持っていよう」

と田口さんは平気でいる。

「此奴が千里を跋渉するんだね?」

と三輪さんが言った。

「まあ約束だから仕方がない。しかしこんなに大きいとは思わなかったよ」

とお父さんは又零した。

「こんな大きなのはナカ/\なくて方々探したんだよ。大切にしてやって呉れ給え。そうして景色の好いところへ行ったら見せてやって呉れ給え。三輪君にも頼んで置くぜ。団君にも……団君は何うしたんだろう? 遅いじゃないか?」

と田口さんは周囲を見廻した。

実際団さんと田鶴子さんは約束の洋服姿を容易に見せなかった。出納の事務は一切団さんが引受ているから、僕達は切符も買わずに追々不安を催しながら待っていた。