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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
僕は窃っと起きて戸の隙間から明るい外を覗いた。すぐ鼻の先が海だ。ポッ/\/\というのは漁船の石油発動機だった。
立つ前に江の浦あたりまで行って来る筈だったが、皆宵っ張りが祟って殊に三輪さんが寝つきの悪い程度で床離れが悪かった為めに、僕達は朝御飯もソコ/\に沼津駅へ駆けつけた。
「もう少し時間の余裕があると伊豆の方をもっと紹介するのだが、無暗に急ぐから仕様がない。一日や半日でこの辺の特徴を究めようというのは些っと押しが太いよ」
と仙夢さんが汽車の中まで僕達を送り込んで来て言った。
「否、お蔭様で最も有効に見物したよ。お宅へも上らなくちゃ悪いんだが、この通りの大連中だから、何卒奥さんに宜しく言っておいて呉れ給え」
とお父さんが人並に挨拶をした。
「妻もお見立てするのだが、又太いからね」
「何人あるんだい? 一体」
「今度で六人目だ」
「君、君、汽車が出るぜ」
「何に、まだ大丈夫だよ」
「出ますよ、仙夢さん、何うも種々有難うございました」
と三輪さんが催促の積りか慌てゝお礼を言い始めた。
「否、何う致しまして。実は余り呆気ないので、日曜を幸い今日一日お供を致すことに定めました」