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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
大将御帰館という頃合を見計らって襷をかける。僕の家にしても稀にお父さんのいない時にはお母さんは子供が泣いても知らん顔をして雑誌を読んでいる。これは決して横着でも陰日向でもない。細君当然の権利だ。主人は朝から夕刻まで外で働き、主婦は主人が帰ってから夜寝るまで内で働く。主人が働く間は主婦が休み、主婦が働く間は主人が休む。かくて男女共に働くと称する時間が略※(二の字点、1-2-22)公定相場の八時間になるのだが、家ではお父さんが終日在宅だから、お母さんは十六時間労働に服さなければならない。
こういう次第で僕はお父さんに早く何か始めて貰いたいと思っていたところへ、先生に「全然無職では困る」と言われたのだから、感銘が至って痛切だった。尤も先生は無職業では自分の調査の上から差支えると言うので、何も人間として不都合だという意味ではなかったのらしい。それにしてもやはり僕はその日は始終お父さんの職業問題が気になって、これを機会に一つ僕から諫めて見ようかと思いながら、学校の門を出た。電車道から家の方角へ折れた時、
「君のお父さんは文士なのかい?」
と道連れの森下君が突然尋ねた。