轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
このこをのこして
この子を残して
永井 隆
「この子を殘して」大日本雄辯会講談社、1948(昭和23)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,102 字 · 203 页
さて試験にも通って入学することになったが、病中万事不如意のこととて、新聞などで見ると、ひとそろいそろえると二千円かかるそうである。二千円という大金をどうしてひねり出すか? ――まくらにのせた頭が痛むばかりである。誠一は、ほかに何もいらぬから帽子だけは新しい制式のをください、と言う。帽子、帽子――帽子も何百円かするそうな。
ノート・教科書・辞典、それから靴。靴は恐ろしい。
聖母の騎士中学の教頭の田川君がやってきた。田川君は来るたびに「誠一君、おうい、誠一君」と私より先に誠一を捜す人である。今日も誠一はその声を聞くと、裏から飛び出してきた。額に汗が光っている。薪割りをしていたらしい。
「誠一君、頭出して見ろ」
と田川先生が言った。誠一がにやにやしながら頭を突き出した。先生はふろしきの中から学生帽をひとつ取り出した。
「さあ、だめかなあ、いつの間にそんなに大頭になっていたんだい?」
かぶせてみると、ちょこんと頭のてっぺんに載っているだけで、耳まで七センチもあいている。
「アハハハハハ、大失敗だったなあ! いやあ、大きくなったもんだ。どれどれ、そのひもを貸してごらん、測ってみるから……。