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このころのこうたいしでんか
この頃の皇太子殿下
小泉 信三
「文藝春秋」文藝春秋新社、1959(昭和34)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,512 字 · 9 页
の崩御後、皇太子となったのである。このように親王が、二十七歳迄はただの皇族で、海軍生活に専心していたということは、彼の将来に少からぬ影響を与えていると思う。最近の英国で、ジョージ五世、ジョージ六世と、つづいて第二皇子から国民に敬愛される国王を出しているが、これは決して理由のないことではない。第一皇子はとかく人目を引き、はでな存在となり弊害も起り易い。ジョージ親王が第一皇子の陰にかくれて地味な海軍軍人生活をつづけ、多くの社会的経験を得たことが、将来に利するところ多かったことと信ずる。
かくいう殿下御自身は自ら第一皇子として世のスポットライトを浴びてお出でになる方である。この人にしてこの言あり。殿下のレポートは、この問題そのものについても、殿下の御性格についても、或る光線を投射するものであると思い、当時宮内庁要路の人々ともこのことを語り合ったことであった。殿下の御婚約の発表された今日また自然とそれを憶い出した。
「ジョージ五世伝」には王(当時は親王)の結婚のことも書かれている。一八九三年、五月三日、親王は二十八のときテック公爵の息女メリイ姫と婚約が出来、七月六日に結婚式を挙げられた。