轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そのきどをとおって
その木戸を通って
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1959(昭和34)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,448 字 · 44 页
なにか曰くがあるに違いないが、どんなからくりなのか見当がつかない。いずれにしてもかかわらないほうがいいから、すぐこの家を出ていってもらえ、おれは田原へいって来る、と正四郎は云った。そして、そのまま家をでかけ、竹坂の田原家を訪ねて権右衛門に会った。
「申上げたとおりです」正四郎は昂然と云った、「私の知らない娘ですし、娘のほうでも私を知りません、まったく関係のない人間でございます」
「それならいいが」と云いかけて、田原は訝しそうに彼を見た、「――娘のほうでもおまえを知らないって」
「はい、当人がそう申しました」
「おかしいじゃないか、知らない娘が知らないおまえになんの用があって来たんだ」
「それもわからないというわけです」
正四郎は事情を語った。話の筋がとおらないので、田原権右衛門はなかなか納得しなかった。そこで正四郎は、誰かのいたずらか罠ではないかと思うと云った。――彼は岩井勘解由の三男に生れ、二十五歳まで部屋住であった。それが廃家になっていた平松を再興することになり、彼がその当主に選ばれた。平松は藩の名門で、旧禄は九百石あまり、家格は老職に属していた。再興された家禄はその半分の四百五十石、家格は参座といって老職に次ぎ、老職に空席ができればそこへ直る位置にあった。