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だだらだんべえ
だだら団兵衛
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1932(昭和7)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,271 字 · 25 页
後見送って手下のやつが、
「お頭、つまらねえ道楽ですぜ、腰のものだけでも三十や五十の値打はあった」
「うるせえや、おれは侍の口に丁と張ったんだ、どう目が出るかまあ黙って見ていろ」
手下を叱りつけて闇右衛門は山砦へ。
一方――団兵衛は道を急いで京へ上り、主君の使を無事に果すとその足で、疲れを休める暇も惜んで立戻った。
鈴鹿の裏道、峠へさしかかったのは午さがりまだ陽の高い頃だ。これでは山賊の出張っているはずもないから、例の三本榧のあたりへ来ると道傍へどっかり腰を下ろし、前の泊りで拵えてきた弁当を使って、ごろり横になるとそのまま、鼾たかだか眠入ってしまった。
なにしろ前後五日あまりの疲労がある、眠入ったとなるとそのまま日の暮れるのも知らぬしまつだ。やがて月の出に近い頃、がさがさと雑木林を押分けて、先夜の賊どもが出て来た。
「や、や、お頭来ていますぜ!」
早くも団兵衛をみつけた手下の一人が、魂消た声で呶鳴った。
「そうか、退け退け」
闇右衛門は手下をかきのけて前へ出た。草の上へ肱を枕に、ぐうぐうと良い気持そうに眠っているのは、紛れもないかの団兵衛である。しばらくその寝姿を見戍っていた大蛇嶽、やがて何を思ったか、掻込んでいた槍を取直すと、団兵衛の胸先へ、