轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
「別冊文藝春秋」1959(昭和34)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,788 字 · 138 页
――このかけはしは一度に一人しか渡ることができず、馴れた者でも下を見ると眼が昏むと云われていた。隼人たちは、第一の桟道にかかるところで弁当をつかい、それからは桟道ごとに休みながら登ったが、木戸へ着いたときはすっかり日が暮れていた。
「たいそうな御健脚です」案内の一人が隼人に云った、「私ども馴れている者でも、十時より早く登った者はございません、失礼ですがお疲れのごようすもみえませんな」
「いや疲れたよ」と隼人が云った、「――御苦労だが先触れにいってくれ」
足軽の一人は木戸のほうへ走っていった。
木戸は太い杉丸太の柵で囲まれ、黒木の冠木門がある。岩を削った踏段を登り、門をはいってゆくと、番所の玄関前に、番士たちが並んでいた。玄関柱の左右に藩家の定紋を印した、高張提灯が明るい光りを投げてい、並んでいる番士の両端に、足軽たちが四人ずつ、おのおの提灯を持ってつくばっていた。――隼人はかれらの前で立停り、一人一人をゆっくりと眺めてから、しっかりした声で静かに云った。
「私はこんど木戸番頭に仰せつけられて来た」そこで彼は一と呼吸してからなのった、「――朝田隼人という者です、これから御一同の御助力を頼んでおきます」