轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
「別冊文藝春秋」1959(昭和34)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,788 字 · 138 页
答えが出ないというよりも、思いあぐねたというようすで、それからようやく、自分の湯呑に枸杞の茶を注いだ。
「これは容易なことでは防げません」と云って老人は咳ばらいをし、茶を啜った、「この私にも覚えのあることですが、禁をきびしくすることは、川の水をただ堰き止めるようなもので、水は必ず堰を突きやぶるでしょうし、却って事を悪くするばかりです」
「そうかもしれないが、このまま放っておくわけにもいかない」と隼人は云った、「むしろ私はこれをうまく利用して、この村の者に新しい生きかたを教えたらどうかと思うのだが」
老人は息を深く吸いこんだ、「木戸のほうは押えられるでしょう、城下町に生れ、それぞれ躾けもされ学問もし、作法を守ることが身についている、だがここではまるで違うのです、それも単に躾けや学問のあるなしではありません、根はもっとずっと深いところにある、一つには血の近い者の結婚が続いたためか、白痴や不具者が多い、それらは云うまでもないし、健康な者でもとしごろになると衝動が抑えられなくなる、もともとここでは、衝動を抑えるという習慣がなかったのです」
「それならその習慣をつけるようにしよう」