轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

「別冊文藝春秋」1959(昭和34)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,788 字 · 138 页

青空文庫

と隼人は云った、「日付は十二日、はたしあいをする五日まえに出したものだ、読んでくれ」

帯刀は手紙を披いた。

文面はおよそ次のようなものであった。――勘定方の出納会計から、自分の印判で五百両ちかい金が、不正に引出されているのを発見した。できごころではなく計画的なもので、帳簿の操作も極めて巧みにやってある。誰のしごとかということは、そのやりかたですぐにわかったから、ひそかに呼んで、二人だけで話してみた。その男は自分のしたことだと認め、悪い商人に騙されて米の売買に手を出したが、八月末までには始末をつけると云った。おそらくそのつもりだろうが、商人の名はどうしても云わないし、五百両という多額な金の調達はむずかしいと思う。彼は事務にもすぐれた能力を持っているし、平生はあまり口もきかない小心な人間で、親しい友人もないようだ。結婚して二年めになる妻と、生れてまのない子供がいる。人間はどれほど潔白にみえても、生涯に一度や二度はあやまちを犯すものだ、自分にも覚えがある、隼人にもあるだろう。多くの場合は自分の心に傷が残るだけで、身の破滅をまねくような例は極めて少ない。