轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
谷崎潤一郎『ちくま日本文学014 谷崎潤一郎』。同一底本的分册已合并为一书。收入:春琴抄、吉野葛。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,196 字 · 169 页
のではなかったただ春琴に忠実である余り彼女の好むところのものを己れも好むようになりそれが昂じた結果であり音曲をもって彼女の愛を得る手段に供しようなどの心すらもなかったことは、彼女にさえ極力秘していた一事をもって明かである。佐助は五六人の手代や丁稚共と立つと頭がつかえるような低い狭い部屋へ寝るので彼等の眠りを妨げぬことを条件として内証にしておいてくれるように頼んだ。幾ら眠っても寝足りない年頃の奉公人共は床に這入るとたちまちぐっすり寝入ってしまうから苦情をいう者はいなかったけれども佐助は皆が熟睡するのを待って起き上り布団を出したあとの押入の中で稽古をした。それでなくても天井裏は蒸し暑いのに押入の中の夏の夜の暑さは格別であったに違いないがこうすると絃の音の外へ洩れるのを防ぐことが出来、鼾ごえや寝言など外部の音響をも遮断するに都合が好かったもちろん爪弾きで撥は使えなかった燈火のない真っ暗な所で手さぐりで弾くのである。しかし佐助はその暗闇を少しも不便に感じなかった盲目の人は常にこう云う闇の中にいるこいさんもまたこの闇の中で三味線を弾きなさる