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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页
おとみ婆さんは、夕餉の仕度に忙しい。
間もなく岳陰荘では、ささやかな食事がはじまった。が、大月弁護士はまだ二階から降りて来ない。心配したおとみ婆さんが、階段を登りはじめた。と、重い足音がして、大月が降りて来た。
けれどもやがて食卓についた彼の顔色を見て、おとみ婆さんは再び心配を始めた。
僅か一時間ばかりの間に、二階から降りて来た大月は、まるで人が変ったようになっていた。血色は優れず、両の眼玉は、あり得べからざるものの姿でも見た人のように、空ろに見開かれて、食器をとる手は、内心の亢奮を包み切れずか絶えず小刻に顫えていた。
大月は黙ってそそくさと食事を進めた。
食事が済むと、なに思ったのかステッキを提げて、闇の戸外へ出て行った。そして東側の林の方へ、妙な散歩に出掛けはじめた。が間もなく帰って来ると、人々の相手にもならず、黙り込んで二階へとじこもってしまった。皆は口もきかずに顔を見合わせる。
翌朝――
司法主任が元気でやって来た。
昨日の家宅捜査で見事に物的証拠を挙げた彼は、東京に於ける亜太郎の葬儀が済み次第、不二を検挙する旨を満足げに話した。けれども大月は一向浮かぬ顔をして、うわの空で聞いていたが、やがて主任の話が終ると、突然意外なことを云いだした。