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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

というものは普通一般の病人や怪我人と違って自分自身の病気を自覚しない者が多いのだから、自分で自分の体を用心することを知らず、いつどこからどんな危険が降って来ても極めてノンビリしているから、その看護には特別な注意と親切が必要で、どちらかと云えば病院のような大規模なところよりも、むしろ家庭のような行届いた場所で少数の患者を預り所謂家庭看護を施したほうが成績もよいわけだし、第一看護の原則としても一人の患者には絶えず一人の看護者がつきまとっていなければならない、と云うのだった。

赤沢院長の父祖と云うのは、流石に日本一の家庭看護の本場、京都岩倉村の出身であるだけに、いち早くこの点に目をつけた。そして互に矛盾し合う二つの看護形式を折衷して謂わば家庭的小病院と云うようなものを創立したのだった。けれども一人の患者に必らず一人の看護者を抱えて置くという、これは仲々経費のかかる病院だった。初代目はどうやら無事に過ぎた。が、二代目にはそろそろ経営難がやって来た。そして三代目の当主に至って、とうとう私財を殆ど傾けてしまった。

新らしい時代が来て、新らしい市立の精神病院が出来上ると、その頃からたださえ多くもない患者がめきめきと減って行った。