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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页
事件と云いますのは、かいつまんで申しますと――
被告人は三浦某と云うゴム会社の職工で、芝の三光町あたりに暮していた独身者なんですが、これがその、なにかのことで常日頃から憎んでいた同じ町内のタバコ屋へ、裏口から火をつけて燃しちまった、と云うんです……まだ寒いカラッ風の吹く冬の晩のことなんです……で、この放火事件も、別に確かな物的証拠ってやつはなかったんですが、悪いことには事件の起る数日前に、被疑者の三浦と云うのがタバコ屋と口論して、なんでも「お前の家なぞ焼払っちまう!」とかって脅かしたのが、判って来たんです。で、うんとしぼられて起訴された時には、自白していたんですが、これがその公判廷へ来ると、あれは警察から自白を強いられたからなんだと、俄かに陳述を翻えして、犯行を否定しはじめたんです……それで被告の云うには、いちばん始めに警察で申上げた通り、事件のあった晩、自分は宵の口から浅草へ映画を見に行っていた、と頑張りはじめたんです。そこで裁判長は、お前が映画を見ていたと云う、なにか証拠になるような物なり事なり出して見せなさいとやらかしたんです。すると被告は、暫く考えたあとで、そう云えば、自分はあの晩まったく早くから出掛けていて、まだ開館にならない映画館の出札口で、見物人の行列の一番先頭に立って出札を待っていたから