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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

「表の部屋を覗いた時に、窓のところにお母さんが立っていなかったか?」

警官の問に君子は首を振って答えた。

「いいえ、もうその時には、お母さんはいませんでした」

「それで驚いて階下へ降りた時に、お母さんがいないのを見ても、別に不審は起らなかったのか?」

「……お母さんは、時どき夜晩くから、小父さんと一緒にお酒を飲みに行かれますので、また今夜も、そんな事かと思って……」

「小父さん? 小父さんと云ったね? 誰れの事だ?」

警官は直ぐにその言葉を聞きとがめた。そこで君子は、達次郎のことを恐る恐る申立てた。そしてビクビクしながらつけ加えた。

「……今夜小父さんは、お母さんよりも先に、まだ私が店番をしている時に出て行きました……でも、裏口はあけてありますので、途中で一度帰って来たかも知れませんが、私は眠っていたので少しも知りませんでした」

「いったい何処へ、飲みに行くのかね?」

「知りません」

そこで係官は、直ぐに部下を走らせて、達次郎の捜査を命じた。そして引続いて、「青蘭」の女給達と、例の三人組が、証人として訊問を受けることになった。

証人達は、いちばん始めに申立てた事をもう一度繰返した。