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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

美木はまた、よく三四郎のところへ遊びに来ていた。「浅見先生に文学を教えて頂く」なぞと云いながら、三四郎の留守にも度々訪れたというのだから、その「文学」は三四郎でなく、及川にあったのかも知れない。いずれにしても美木は、その夜も三四郎の宅を訊ねて行ったという。けれども戸締りがしてないのに家の中に人の気配がないと、ふと不審を覚えていつもの軽い気持で玄関から奥へ通ずる扉を開けてみた。そして家の中の異様な出来事をみつけると、一番近い私のところまで駈けつけて来たという。

さて、私の家から三四郎の家までは、スキーで行けば十分とかからない。

三四郎の住居は、丸太材を適度に配したヒュッテ風の小粋な住居で、同じように三軒並んだ右端の家であった。左端の家はもう休んだのか窓にはカーテンが掛り、真中の家は暗くて貸家札が貼ってあった。三四郎の家の前まで来ると、美木はもう顫え上って動こうとしなくなった。それで私は、ここから程遠くない同じ女学校の物理教師の田部井氏の家まで、彼女を求援に走らした。そして流石に固くなりながら、思切って三四郎の家へ入っていった。

玄関の隣りは、子供の部屋になっていた。