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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页

青空文庫

お品がその時のことをどんな風に述べていったか、しかしそれは、ここでは云う必要がない。お品の陳述、既に物語の冒頭に記したところと寸分違わなかった。

さて女の告白が終ると、係長は姿勢を改めて口を切った。

「いずれその時のことは、またあとから発火坑の現場について、お前の云ったことに間違いないか調べ直すとして……これは別のことだが、お前はあの時、兄に抱かれて納屋へ帰ったと云うが、確かにそれに間違いないか?」

しかしこれは、訊ねる方に無理があった。お品はあの時、恐怖の余り顛倒して岩太郎に抱えられた筈であるから、それから岩太郎と共に真ッ直ぐに納屋へ連れ帰されたかどうか、女自身にも覚えのない筈であった。しかし係長にして見れば、この場合お品も岩太郎も、共に怪しまないわけにはいかなかった。そこで係長は重ねて追求しようとした。

が、この時事務所の扉があいて、さっきの小頭が見張所の番人を連れて戻って来た。

カラーのダブついた詰襟の服を着て、ゴマ塩頭の番人は、扉口でジロッと岩太郎とお品を見較べると、係長の前へ来て云った。

「この二人でございますね? ハイ、確かに、十時二十分頃から十時半までの間に、ケージから坑外へ出て行きました」