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どこかでよぶような

どこかで呼ぶような

小川 未明

「幼年クラブ」1949(昭和24)年5月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,361 字 · 7 页

青空文庫

弟は、足がつかれたといって、とうとう泣きだしてしまいました。すると、そこを通りかけたオート三輪車があって、わざわざ車をとめ、石炭をはこんだあきばこの中へ、二人を入れて、とちゅうまで、送ってくれました。きっと、あのときから、この車は、この道をいったりきたりしていると思ったので、

「いつか、ぼく、これとおなじような三輪車に、弟と二人が、乗せてもらったのですよ。おじさんは、あのわかい人を知らない?」と、わたくしはきゅうになつかしくなって、走りながら、車の上で、聞きました。

「どんなようすをしていたい?」

おじさんは、運転しながらいいました。

「おじさんより、もっとわかい人なんだよ。」

「いつごろのこと?」

「おととしの夏休みだった。」と、わたくしは、答えました。

「ああ、それでは、知らない。たぶん、人がかわっているだろう。」

そうすれば、わたくしは、あの人にもうあえないのかと、さびしく思いました。

車は遠くに見えた、あの森をいつのまにか、うしろにして、町へ出たのでした。はじめて、あの花火は、こんど、新しく、町を電車が、通ったので、その祝賀会がもよおされるためとわかりました。