轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひしがれたじょせいとかたる
ひしがれた女性と語る
宮本 百合子
近頃思った事
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,582 字 · 11 页
最近、計らずも身辺近く見た或る婦人の境遇が、自分に種々の事を考えさせました。
その婦人と云うのは、もう四十歳を幾つか越した年配でした。けれども、少女時代から、決して幸福な生活のみを経験して来たんではありません。
僅か十四五の時、両親には前後して死去され、漸々結婚が未来の希望を輝せ始めると、思いもかけず長年の婚約者との間に、家族的な障碍が横えられました。
両親の死後、彼女の新たな保護者となった長兄は生憎、許婚者の父とは政敵の関係にあって、その反感から、どうしても二人の結婚を許可しようとはしなかったそうです。
そこで、当時の意向では、ほんの当分の方便として、彼女は従来の生活をすっかり改め、幸、裁縫が上手なのを利用して、或る小学校の教師になりました。
家兄の許を離れ、自己の生活を営んで幾年か経つ間には、何時か、自分達の希望が遂げられる機会もあろうと云うのが、勿論、彼女にとっては唯一つの光明であったのです。
処が、先方の男子は、四五年経つうちに、何か家庭の事情と云う口実で、突然、他の婦人と結婚して仕舞いました。
その翌年家兄は急劇な流行病にかかって死去し彼女は暫くの間に、よかれ、あしかれ、兎に角生活の支柱と成っていた二つの者を一時に失って仕舞ったのです。