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ひしがれたじょせいとかたる
ひしがれた女性と語る
宮本 百合子
近頃思った事
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,582 字 · 11 页
この事は、当然、彼女の内心に改革を起しました。
嘗つて、婚約者と結婚をし得る、最少限でも希望があった間は、彼女にとって孤独な生活も、前途に何等の陰をつけませんでした。僅かの給料を唯一の資力として微に支えられて行く生活も、いざと云う時、後で手を延して呉れる者が在る間は凌ぎ得ない苦痛ではありませんでした。が、頼るべき何人も何物も無く、全く一人ぼっちに成って見ると、彼女にとって現状のままを引延して予想した未来というものは、何とも云えない恐ろしいものと成って来ました。
暫の間、圏境の激変に乱れている心の焦点は、それが鎮ると共に、底の知れない将来の不安の上に全力を集注させて仕舞ったのです。
彼女にとって、この根本的な不安を除去するものは、結婚より外に無く感ぜられました。当時三十歳を越していた彼女は、自分の境遇に同情し、所謂世話好き人の媒妁によって、土地では金持として知られている或る男と結婚することになりました。
少女時代から不運で、陰気な人生の片側を歩いて来た彼女は、全く、生涯をかけて、嫁して行ったのだそうです。
けれども、結果は悪く、三年同棲する間に、女性がその良人に対して持ち得る極限の侮蔑と、恥と憤とを味って離婚してしまいました。