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ひしがれたじょせいとかたる
ひしがれた女性と語る
宮本 百合子
近頃思った事
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,582 字 · 11 页
生活の安全、幸福と云うものは、只、金でだけ保障されると思って媒妁人は、心から彼女の為を計って、却って、富の程度に比例した非人間に、彼女を紹介する誤を犯して仕舞ったのです。
過般、私が遭った時、彼女は、噂に聞いて陰ながら悦んでいた二度目の幸福な結婚から、不意に良人を奪われて間もないと云う気の毒な状態にいました。
切角人格的に尊敬し得る異性に出会い、まことに愛されもし、漸々遅蒔きながら人生が実りかけようとすると、今度は予想外の死で、万事は、動揺と不安とへの逆転になってしまいました。
彼女にとっては継子である嗣子夫妻との間に理解を欠き、亡夫の一周年でも過ぎたら、どうにかして、彼等は全く絶縁した生活を講じなければならない状態に成って来たのです。
夕方、山を眺めて涼みながら、私共は随分種々のことを話し合いました。
彼女が、どんなに故良人を愛慕しているかと云うことは、些細な言葉の端々にもうかがわれました。若し出来るなら、真個に一生彼の妻として終始したいと云う彼女の希望には微塵も嘘はありません。
然しそれなら、恒産も無く、老後を扶養して呉れる縁者もない彼女は、今後某々未亡人として、立つべきどんな生活方針を見出してよいかと云う、実際問題になると、考えは荒漠とした処へ迷い込んで仕舞うらしく見えました。