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ひとでなし

ひとでなし

山本 周五郎

「講談倶楽部」1958(昭和33)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,484 字 · 38 页

青空文庫

「あなたが十七なら、姉さんがお嫁にいった年でしょう」とおようが云った、「それならあたし十五になってましたわ」

「云えばよかったんだな、十五ならそういう話をだしてもふしぎはなかったんだ」

「でもあたし、一人っ子でしたから」

康二郎は黙った。

「それにお父っさんがあんな気性でしたから」とおようが云った、「津ノ正さんて聞いただけで、釣合わないって断わるにきまってたと思いますわ」

「そうか、ひとり娘だったんだな」彼は盃をみつめてい、それを啜ってから云った、「それじゃあやっぱり、どっちにしろ婿を取らなくちゃあならなかったのか」

おようは康二郎に酌をし、康二郎はおように酌をした。おようは舐めるように啜って、すぐに盃を置いた。

「しかし、それならそれで」と彼は下を見たままで云った、「婿を取るなら取るで、もっと人の選びようがあった筈だ、仲人口に乗せられたわけでもなし、子飼いからの職人じゃあないか、同じ家にいて、しょっちゅう見ていたんだからな、あの男がどんな性分か、ゆくさき望みがあるかないかくらい、わかりそうなもんじゃないか」

「お父っさんはあの人に惚れこんじゃった