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ふるさとによするさんか
ふるさとに寄する讃歌
夢の総量は空気であった
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,184 字 · 13 页
私はマントを被っていた。寺院の鐘が鳴った。釣竿をすてて、一散に家へ、私は駈けた。降誕祭に、私は菓子をもらった。ポプラアの杜を越えて、しもたやの燈りが見えた。窓が開け放してあった。裸の男女が食事していた。たくましい筋肉が陰を画いた。昔はそこに、私の友人が住まっていた。私より四五歳年上であった。町の中学で一番の暴れ者だった。柔道が強かった。私は一年生だった。私は毎日教室の窓をぬけ出して、海岸の松林を歩いた。彼は優しい心を持っていた。彼によく似た私を、彼の堕ちた放埓から遠ざけるために、はげしく私を叱責した。人々は、私を彼の少年だと誤解した。私は町の中学を放校された。彼は猟に出て、友人の流れ弾にあたって、死んだ。
僧院の窓はくらく、祈祷の音も洩れなかった。何事か、声高く叫びたい心を、私は切に殺していた。騒がしい食膳の音が流れていた。
姉が病んで、この町の病院へ来ていることを知った。黒色肉腫を病んでいた。年内に死ぬことを、自分でも知っていた。毎日ラジウムをあてていた。私の父も肉腫で死んだ。その遺伝を私は別に怖れなかった。
姉は聡明な人だった。子供のために、よき母であった。