轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
「講談倶楽部 春の臨時増刊号」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,977 字 · 47 页
母は甲之助を抱いてあやしながら、しごく暢気にそんなことを云った。
「うるさいもめごとや諍そいのない、静かな世の中がこないものかしら、相当な智恵者がそろっていて、いつもなにかかにかやりあっているのだもの、ねえ甲之助さん、あなた大きくなったら、もっと静かな住みいい世の中にして下さいね」
信乃は思いきって、知也が死罪になる、ということをうちあけようとした。だがうちあけたところで彼女たちにどうすることができるわけでもない、ことに自分の見た書類も判決文であるかどうかも、はっきりと断言はできないのである。それで結局はなにも云わずに、二時間ばかりいて家へ帰った。
城で泊ると使いをよこした良人は、その夜十時ごろになってとつぜん帰って来た。
「御用が意外に早く片づいたので」
良平は珍らしくそんなことを云った。酒を飲んでいるとみえて、そのためでか、ほかにわけがあるのか、例になく明るい顔つきで、眠っている甲之助を見にいったりした。
明くる日は午後から六人の客があり、夜にかけて賑やかに酒が続いた。
――なにかひと片ついたのだ。
酒席のはずんだ話しぶりにはそれが明らかに表われていた。