轻松读懂日语经典作品
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めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
「講談倶楽部 春の臨時増刊号」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,977 字 · 47 页
「いやあねえお姉さま、なにを仰しゃるの」
文代は笑おうとして、急にはっと色を変えた。姉の静かな表情と、おちついた微笑と、心のきまった姿勢と、……文代は叫び声をあげ、母を呼びに立とうとした。信乃はそれを制止し、低い声で母には知らせないでと云った。
「お母さまにも、誰にも知らせたくないの、あなただけ聞いて頂きたいことがあるのよ」
「お姉さま、……いらっしゃるのね」
「ええゆきます、上村といっしょに」
信乃は膝の上に手を重ね、眼を伏せて、おちついた静かな声で云った。
「あなたいつか仰しゃったわね、わたくしがしあわせではないだろうって、――そのとおりだったの、上村へいってからすぐ、この結婚はまちがいだったと思いはじめ、甲之助が生れてからも夫婦らしい愛情はもつことができなかったの、――そうしてしまいには、憎むようにさえなっていたわ」
信乃は正直にすべてをうちあけた。病気になった子供の看護さえ思うようにさせなかった良平、いつも信乃を自分のそばへひきつけておこうとし、こちらに対する感情とか精神的な劬わりのない自己中心主義、……やりきれなくなって、心から憎みだした自分の気持など、隠さずにみんなうちあけた。