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ものぐさなきつね

ものぐさなきつね

小川 未明

「読売新聞」1922(大正11)年1月23~25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,248 字 · 5 页

青空文庫

二

そして鶏だけには、星のものをいうことがよくわかりました。また、鶏の鳴いていろいろなことを話すのも、星にはよくわかりました。

「まだ牛も馬も眠っています。私だけが起きたのです。」と、鶏は、大きな声を出して叫びます。またつぎに、

「いま、ようやく家の人たちは起きました。そして、勝手もとでガタガタ音をさせています。いま、ろうそくに火を点けて、裏口の方へ出てゆきます。きっと馬にまぐさをやるのでしょう。」と、鶏は告げていました。

二

かくして、毎朝、星は夜の間に見た不思議なことを鶏に知らせ、また鶏は、村の中のできごとを星に知らせて、たがいに春から秋になるまで、長い間、仲のいい友だちであったのです。星がしめやかな言葉つきで、

「いま、寒い風が、あちらの遠い森の中で騒いでいる。」と、鶏に告げますと、鶏は、うなだれて体じゅうを円くしてちぢむのでした。

「しかし、鶏さん、私はおまえさんを毎晩守ってあげますよ。」と、星はいったのです。

冬になって、雪が地の上に積もると、鶏は小舎の中に押し入れられてしまいました。そして外へ出ることを許されませんでした。

哀れな鶏は、小舎の中にいて、どんなに怠屈をしたでしょう。