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ものぐさなきつね

ものぐさなきつね

小川 未明

「読売新聞」1922(大正11)年1月23~25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,248 字 · 5 页

青空文庫

三

ただじっとしていて、耳に聞くものは闇の中に狂う風と雪の音ばかりでありました。

「ああ、早く春になって、土を踏みたいもんだ。そして、あの優しい黄金色に輝く星の光を見たいものだ。春、夏、秋、なんという長い間、私たちはまた星とお話することができるだろう。楽しいことだ。」と、鶏は思いました。

星はまた、毎夜限りない、しんとした雪の広野を照らしていました。ただ見るものは白い雪ばかりでした。そしてたまたま黒い森や、山や、流れが目に入りましても、なにひとつおもしろい話をするではありません。そのほか、怠けものの獣物や、いじ悪い動物はありましたが、自分に向かってやさしく話をする、あの鶏のような友だちはなかったのです。星は鶏のことを思い出していました。そして早く春になって、鶏が小舎から出て、空にくびを伸ばして話しかける日になるのを待っていました。

三

寒い夜のことでした。山にすんでいるきつねはもう山には餌がなかったので、里へ出てなにか探してこようと野原の上を歩いてきました。きつねは村へいって鶏の小舎を襲おうと思っていたのです。

「おお、寒い。」と、きつねはつぶやいて、空を向いて、太い息をしました。