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ものおもうあし
もの思う葦
――当りまえのことを当りまえに語る。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,430 字 · 42 页
私のはじめての本の出版。それで、すべてに、合点がついた。宿題。たくまずして、砂子屋書房主人、山崎剛平氏に、ばとんをお渡ししなければならなくなった。私の本がどれくらい、売れるであろうか。私の本の装釘は、うまく行くであろうか。潮どきと鴎と浪の関係。
附記。これは、半ば以上、私の本の、広告のために書いた。私、昭和十一年よりは、稿料、全く無しか、さもなくば、小説一枚五円、その他のくさぐさの文章一枚三円ときめた。
今年正月号には、私の血一滴まじって居るとさえ思わせたる編輯者の手紙のため。あるいは、書きますと去年の正月にお約束して、以後、一年間、自らすすんでいよいよ強くお約束してしまい、ついには、もの狂いの状態にさえなったがため。私をつねにやわらかくなぐさめ顔の、而も文意あくまで潔白なる編輯部の手紙のため、その他、とにかく、いちどは書かなければならぬ事情ありて、断片の語、二十枚あまり書いた。稿料はすべて、私のほうから断って書いた。「人おのおの。おのれひとりの業務にのみ、努めること第一であるが、たまには隣人の、かなしくも不抜の自尊心を、そ知らぬふりして、あたためてやりたまえ。