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わがせいしんのしゅうい
わが精神の周囲
「群像 第四巻第一〇号」1949(昭和24)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,670 字 · 32 页
「キミ、頭のテッペンへお灸をやってみないかね。跡なんか、つきやしないよ。ガーゼをしいて、その上へお灸をもすんだ。熱くもなんともないんだ。ホカホカするだけでね。頭の疲れがとれて、よく眠れるんだ」
今にして思えば、それがつまり温灸であった。私はお灸と温灸の区別どころか、お灸そのものすらも、当時は知らなかったのである。
私はさッそく、その翌日から、この温灸を試みた。さる婆さんが、やっているのである。四十前後の二人の中年婦人のお弟子を従えて現れるのである。
私の胃袋のあたりへ、ちょッと手をふれたと思うと、
「これは肝臓。お酒はいくら飲んでもよろしい。私の温灸をやれば、一週間で治る。こゝへ当てる」
と、温灸の場所を弟子に指図した。それから、女房のミズムシを発見すると、
「あゝ、奥さん、ミズムシだね。このミズムシはタチがわるいが、私の温灸なら、三日で治る」
彼女は女房の年齢や身なりから判断して、私の女房ではなく、酒場の女とか、芸者とか、パンパンという性質の女だろうと見たようであった。
「あなた、奥さんですか。お嬢さんでしょう?」
つれてきた弟子がトンキョウな声できく。