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インテリのかんしょう

インテリの感傷

坂口 安吾

「文藝春秋 第二七巻第三号」1949(昭和24)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,720 字 · 10 页

青空文庫

そうであり、十年、二十年の思弁をたどって、そこに行きつくというものではない。はじめから、そうに極っており、問題は、そこから先にあるのである。

敗戦、そして、この社会的混乱、そこで、ようやく、これではいかぬ、政治に目覚めた、などゝは、バカも休み休み云うがよろしく、自我について思弁のひらかれた十何歳の年齢から、自我と社会、自我の在り方と同時に、社会の在り方というものは、表裏一体、離るべからざるものでなければ、すべての思弁がナンセンスであったにすぎないのである。

保守思想と進歩思想というけれども、日本の政党に進歩的な思想があるかどうかは疑問である。例を進歩的の代表選手と目される共産党にとって考えてごらんなさい。反アメリカ的対立感のせいもあるでしょうが、日本共産党は民族独立ということを云う。この狭小な国土に八千万を越す日本人が民族独立して、いかなる果実がもたらされるというのであろうか。共産主義の理論などは問題とするに足らない。この狭小にして、天然資源も豊かではない国土と、八千万を越す頭の数を見るだけで、明白なのである。かりに全世界の各民族が独立して各自共産主義国家となったと仮定して、その際、最低の生活を営む民族は先ず日本であろう。