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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
「キング」1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页
「不都合者をつれて上りました」
と中島さんは早速用件に取りかゝった。
「今日は飛んだ御無礼を申上げて、何とも申訳ございません」
と松本さんと私が後に続いた。
「中島君」
と赤石さんは私達の方を見向いてくれない。
「はあ」
「頻りに足止めをするから、大方こんなことだと思っていたよ」
「夜分押しかけて参りまして、飛んだお邪魔を申上げます」
「宜いさ。久しぶりだ」
「毎日お世話になっていながら、正月以来御無沙汰申上げています」
「少しひどいぜ」
「恐れ入りました」
と中島さんは額に手を当てた。要領が好くて出世の早かった人だから、私達は大いに学ぶ必要がある。
「その後豪いものを掘り出したよ」
と赤石さんは床の間の双幅に目を向けた。
「これでございますか?」
「うむ。それもその一つだ」
「結構でございますな」
「天下の絶品だよ。よく見てくれ給え」
「拝見させて戴きます」
と中島さんは床の間へ進んで端坐した。
「社長が垂涎万丈さ」
「寒山拾得って形ですな?」
「寒山拾得だよ」
「はゝあ。余程お古いものでございましょう?」
「足利時代だ」
「誰でございますか?」
「兆殿司さ」
「成程。支那人でございますな」