轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
「キング」1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页
「もう晩うございますかな?」
と中島さんも巧者、あわよくば礼儀丈け尽して逃げ出そうとする。
「今も言う通り、十時十一時は我輩の宵の口だよ」
「御迷惑でございませんければ、久しぶりで一段」
「所望とあれば後には引かない。彼方へ行こう」
と社長は直ぐに立った。
日本間へお供をすると、お師匠さんは悉皆支度をしていた。私は時々聴かされるので見知り越し以上の間柄だ。私も同情しているが、先方でも同情してくれる。松本君は古いから私よりも懇意だ。社長は、
「中島君、これは兜太夫」
と簡単に紹介した。
「太夫さん、暫くでございましたな。宜しくお願い申上げます」
と松本さんは特別念入りに挨拶した。お手軟かにという意味らしかった。
「会社の忘年会でお目にかゝりました」
と中島さんも努めた。
「お引き立てにあずかりまして」
「我輩と同じように睡がらない太夫さんだよ」
と社長が言った。
「何う致しまして。ヘッヘヽヽ」
と太夫さんは顔中を皺だらけにして笑った。
「この太夫さんの豪いところは瞬きをしないことだ」
「…………」
「中島君、瞬きをしないことだよ」
「はゝあ」
と中島さんは慌てゝ応じた。
「我輩もしないが、太夫は堂に入ったものだ。