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キドこうか
キド効果
海野 十三
「新青年」1933(昭和8)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,298 字 · 25 页
この一団というのは、開発移住団と称して一行四十名一と塊となってくりこんできた連中なのであるが、開発の美名に隠れて何をするつもりか判ったものではないギャング一味だった。それも、銀行を襲ってケチな金を奪い、後ですぐ検挙されるような青いギャングとは少しギャングが違うので、非常に統制と訓練とに富んだ云わば本格的暴力団ともいうべき種類のものであった。一行は赤でもなく白でもなく、親分「岩」に率いられてその胸三寸次第で如何様にも突入していったのだった。
ただし此の「岩」こと岩丘岩九郎はその物凄い腕前をもって、単なる風来ギャングとしてでなく、或る有力者を脅迫し相当大ぴらに行動していた。それは、この怪しからぬ一味が、当局の厳しい取締の網目をすりぬけて此処満洲を堂々と貸切列車で押し進んでいっているということから考えても、それと肯けるだろうと思う。――筆者は簡単に喋ると断って置きながら、「岩」一味の説明に大変手間どってしまった。
さて此の一団の乗った列車は、白樺の美林をめぐる二十七曲りをどうやら切り抜けた末、
「ぽーッ」
と警笛一声、例の長さ三十町もあるといわれる興安嶺隧道のなかへ潜りこんだ。