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キリストきょうにゅうもん
キリスト教入門
矢内原 忠雄
序「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>門をたたけ「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第一章 人生と宗教「嘉信第十四巻第八・第九号」嘉信社、1951(昭和26)年8・9月<br>キリスト教入門第二章 いかにしてキリスト教を学ぶか「嘉信第十四巻第十・第十一号」嘉信社、1951(昭和26)年10・11月<br>キリスト教入門第三章 キリスト教の歴史「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第四章 キリスト教の神観「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第五章 キリスト教の人間観「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第六章 キリスト教の救済観「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教入門第七章 基督者の生涯「キリスト教入門」角川新書、角川書店、1952(昭和27)年11月11日<br>キリスト教早わかり「嘉信第九巻第六・第七・第八号」嘉信社、1946(昭和21)年6、7、8月<br>無教会早わかり「嘉信第十巻第四号」嘉信社、1947(昭和22)年4月<br>聖書について「嘉信第十巻第七号」嘉信社、1947(昭和22)年7月<br>イエスの生涯「キリストの生涯」郵政省、1949(昭和24)年2月<br>あとがき「キリストの生涯」郵政省、1949(昭和24)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,257 字 · 234 页
パウロの嘆いたように、自分のなしたく思う善を自分はなさず、なすまいと思う悪を自分はなす。このゆえに、自分の欲しない悪を自分はなすという一つの法則が、我の中にあることを我は知るのである。この不思議な存在である人間というものの本質は、いったい何であろうか。
人間は葦であるという見地を徹底すれば、それは素朴な唯物論の人間観になる。人間は結局物質である。思索することは身体の一部である脳髄の働きであって、身体が死ねば思索も止む。人間の生命は物質的生命以外にはないという、唯物的一元論になるのである。しかし宗教はもちろん、学問や芸術の本質が「物質」の活動であるとみることは、きわめて困難なふしがある。
これに反し、人間の本質をもって精神あるいは理念にありとする唯心論の考え方もある。しかし人間が睡眠しあるいは飲食する事実を思えば、どうして「理念」が飯を食ったり寝たりするかということが、説明できない。
さらに、人間の性質についても、古来性善説と性悪説とがあって、人間観の二大潮流をなしている。人間生まれつきの本性は善であると認めるべきか、悪であると認めるべきか、宗教や哲学の学派も、この見解いかんによって二分されているのである。