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クリティシズムとにんしきろんとのかんけい

クリティシズムと認識論との関係

戸坂 潤

「学芸」1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,091 字 · 50 页

青空文庫

思うに、色々の意味での創作的批評の説が、クリティシズムと創作との距離をなしくずしに調和的に埋めたくなる動機は、創造の積極性に較べて批判の消極性が気がひけるからだろう。両者の間のギャップを均らして了わない限り、批判的なクリティシズムは常に消極と否定との精神として、メフィスト的役割を振り当てられる他ないらしいので、それを避けるために無理にもクリティシズムをば創造的で積極的と考えられる創作へ接合しようというのだ。なる程その否定性と消極性との故にカント的「批判」を批難するものは、ひとりヘーゲルには限らぬ。A・コントも亦その有力な批難者であり、彼の所謂実証主義はそれ故に積極主義という字の意味を有っていた。今日批評や批判の態度が特に社会の公式発言に於て嫌われるのも、云いがかりか理屈の形としては正にこの建前に立っている。

だが或る意味に於て、反省は常に否定的だ。概念や悟性や理性の本質、論理の本質が、否定の大用にあることは、今日の論理学的常識と云わねばならぬ。概念のこの機能が社会的機能となったものがクリティシズムである。処で之が否定的であるということが、直ぐ様夫の消極性を意味するだろうか。