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ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

前半「文藝春秋 第二六巻第四号」1948(昭和23)年4月1日、後半「別冊文藝春秋 第六輯」1948(昭和23)年4月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,597 字 · 102 页

青空文庫

その方面では至って平和主義者であるが、つまりたゞ、配給の紙の半分以上は闇に流すという流儀なのである。同時に私はインチキ雑誌をやっていた。このインチキはエロ方面で、雑誌の五分の四頁ぐらいは色々の名前で私が一人で書きまくる流儀であった。

私は遊ぶ金が必要なのだ。だから必死に稼ぐ必要があるのである。要するに、私は、それだけなのだ。

私は三人の女を追いまわしていた。いずれもジロリの女であった。

一人は四十一の未亡人で、亡夫の院長にひきつゞいて病院を経営していた。亡夫が私の従兄で、その関係で、病気のたびにこの病院のヤッカイになり、家族はもとより、金龍も入院したことがあった。あげくに院長と関係ができて、このときは辛い思いをしたものである。このときばかりは、特別、嫉妬に苦しんだ。病気のたびに世話をかけるばかりでなく、金銭のことでもかなり迷惑をかけており、ヒケメを覚えて卑屈になっているときは、口惜しさがひどいのだろう。嫉妬といっても、立場は奴隷にすぎないのだから、ゴマメの歯ぎしりという奴だ。

ウップンを金龍にもらすわけに行かないから、このとき私はひどいヘマをやった。