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「近代文学 第四巻第一一号」1949(昭和24)年11月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,635 字 · 14 页
責任もくそも、どだい天皇制というものをボクは認めないんだ。共産主義も嫌いだが、天皇制も嫌いでね。本当はアナーキズムが好きなんだよ。
但し今のアナーキスト連中は嫌いだね。日本のアナーキズムは辻潤のダダに通じていて、統一がない。アナーキでも統一がなければいけない。
ボクがアナーキが好きだということを、アナーキストの連中も知っていて、いろんな出版物を送ってくれるが、面白いのは、送ってよこす新聞に、財政的に困っているから金を送ってくれる人は送ってくれ、送る気のない人は送らなくてよろしい、と書いてあるんだ、あんなのも淋しい。
アナーキは最後の統一に通じているものなんだ。批評家は、ボクの人物や作品の最後の統一点がどこにあるか見つけようとして困っているらしい、が、統一はあるね。仏教だろうという人もあるが、仏教の東洋的ニヒリズムではない、まあ一番近いのはチエホフだろう。チエホフからポーだ。ポーはボキャヴラリーの面白さに惹かれる、が、ボクが一番惹かれるのはやはりチエホフだ。最初読んだ頃は文学としてではなく精神の糧として読んだ、仏教以下だと軽蔑なんかしなかった。
この間も気狂病院に入っているとき考えたのだが、真善美なんてもっと人間が進歩すると区別がなくなるだろうが、そのとき、今あるもので一番そういう状態に近づいているものは