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しこんぞめについて

ポラーノの広場

宮沢 賢治

宮沢賢治『ポラーノの広場』。同一底本的分册已合并为一书。收入:紫紺染について、泉ある家、十六日、手紙 一、手紙 三、手紙 二、手紙 四、サガレンと八月、バキチの仕事。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,934 字 · 50 页

青空文庫

盆の十六日の次の夜なので剣舞の太鼓でも叩いたじいさんらなのかそれともさっきのこのうちの主人なのかどっちともわからなかった。

(踊りはねるも三十がしまいって、さ。あんまりじさまの浮かれだのも見だぐなぃもんさ。)むっとしたような慓悍な三十台の男の声がした。そしてしばらくしんとした。

(雀百まで踊り忘れずでさ。)さっきの女らしい細い声が取りなした。

(女※引ぱりも百までさ。)またその慓悍な声が刺すように云った。そしてまたしんとした。そして心配そうな息をこくりとのむ音が近くにした。富沢は蚊帳の外にここの主人が寝ながらじっと台所の方へ耳をすましているのを半分夢のように見た。

(さあ帰って寝るかな。もっ切り二っつだな。そいでぁこいづと。)(戻るすか。)さっきの女の声がした。こっちではきせるをたんたん続けて叩いていた。(亦来るべぃさ。)何だか哀れに云って外へ出たらしい音がした。

あとはもう聞えないくらいの低い物言いで隣りの主人からは安心に似たようなしずかな波動がだんだんはっきりなった月あかりのなかを流れて来た。そして富沢はまたとろとろした。次々うつるひるのたくさんの青い山々の姿や、きらきら光るもやの奥を誰かが高く歌を歌いながら通ったと思ったら富沢はまた弱く呼びさまされた。