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マルクスしゅぎとゆいぶつろん

マルクス主義と唯物論

三木 清

「思想」1927(昭和2)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,739 字 · 43 页

青空文庫

現代の認識論の中心問題は意識である。意識がむしろ今の哲学にとって唯一の、あるいはすべての研究対象を形造っている。それはいかなる哲学も必ず取扱わねばならぬ、最初にして最後の問題であり、それ故に自明なる、永遠なる問題である、と考えられている。しかしながら、我々にとって自明なるものは多くの場合我々にとって悪しき因縁であるものであるに過ぎず、永遠なるものは時として我々にとって宿命であるものを意味する。我々はかくのごときものを支配し得る位置に身をおくのでなければ、我々の学問、また我々の生を発展させることが出来ない。現代の哲学は意識の問題に対してそれを自由になし得る優越なる立場を発見し得るのでないならば、恐らく身動きのならぬ、もはや前進することの出来ぬ状態に固着されてしまうであろう。この状態を脱却するためには、哲学は我々が歴史的破壊的方法と名づけようと欲する特殊なる方法にしたがって、自己の道を開拓してゆかねばならぬ。けだし一切の存在は歴史的であり、歴史的なる存在はすべて我々を解放することから我々を圧迫することにまで必然的に転化する矛盾の存在である。この矛盾を歴史的必然性の根源において把握することが我々の要求する方法である*。