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マルクスしゅぎとゆいぶつろん

マルクス主義と唯物論

三木 清

「思想」1927(昭和2)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,739 字 · 43 页

青空文庫

それによって、人間に彼自身の活動、彼自身の労働が或る客観的なるもの、彼から独立なるもの、すなわち商品として、彼を人間とは縁なき自身の法則性によって支配するものとして対立することとなる。簡単に言えば、人間は人間みずからの作ったものによって支配される。ここにおいて「人間の自己疎外」(die menschliche Selbstentfremdung)は成就される。資本主義社会の特質は存在の凡庸化がかくのごとき自己疎外において普遍的に完成するところにある。

* Das Kapital, ※(ローマ数字1、1-13-21), 38-39.

この社会にあって無産者的存在の可能性はいかなるものであろうか。社会的存在の客観的現実性は、それの直接性においては、無産者にとっても有産者にとっても「同一」である。けだし無産者は資本主義的社会秩序の必然的産物として現われる。一切の生のかの物質化をそれ故に無産者は有産者と共同に分有する。しかしながら両階級がこの同一なる直接的現実性を、それの媒介性において、本来の客体的現実性にまで高める範疇は、両階級の存在の存在の仕方の相異なるにしたがって、根本的に相異なるものでなければならぬ。