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「ラジオおうごんじだい」のていちょう

「ラジオ黄金時代」の底潮

宮本 百合子

「唯物論研究」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,621 字 · 11 页

青空文庫

日本の家屋の構造は、全く夏など家そのものを反響箱として響きわたるのであるから、生憎ラジオを終りまでかけている家の隣りにでも住み合わしたら、大抵の者は閉口する。

西洋の習慣と云えばその一つとして、ダンスが数えられるが、ダンスぎらいで一生通す人もいる。ラジオぎらいも世界的現象としてあり得るのである。しかし、日本のラジオのプログラムの所謂修養・娯楽の部に対して一部の聴取者が常に感じている水準の低さに対する不満の如き不満が、やはり世界的な現象なのであろうか。一方、その中でラジオが好きと迄云い切れる人が殆どないであろうのに、日本のラジオ聴取者の数は放送開始の大正十四年三月の五千四百三十四名から、昭和二年五十万を突破、昭和七年百万。それから「所謂ラジオの黄金時代を現出して」昭和八年には百五十万を超え、十年二百万。十一年二百七十七万余という勢での増加である。略五軒に一軒の割合になることを統計は示している。今日は首相である近衛文麿公を会長として、全国的統一組織の下に逓信省所轄の中央放送協会は「ラジオの加入状況益々好調」とこの事実を慶賀している。その原因として、放送網の拡充、社会情勢に伴うニュース価値、器具の改良、維持費の低廉化等が作用していると共に、軍需景気、米穀、繭の高価等による農村経済事情の良好化があげられている。